煉瓦女工 (1946)

　　野澤富美子の手記を1940年に映画化。当時は検閲を通らず、戦後公開された。後に黒澤明監督の妻となる矢口陽子が瑞々しく演じる健気な女工の目線で、朝鮮人一家とのふれ合いなど、人と人との結びつきの強い長屋ならではの悲喜こもごもの情景が繊細なタッチで綴られる。横浜・鶴見の運河沿いの長屋で暮らすみさ（矢口）は、夜学に通いながら、家計を支えるべく女工として働く中で様々な人々との出逢いと別れを繰り返していく。